療育(プレイセラピー)の中の制限について

お知らせ

私は、今まで(少数ではあるが)子どもと接してきました。その中で、遊戯療法(プレイセラピー)というものを考えたことがありませんでした。プレイセラピーを学ぶにあたって、飽田先生の本を読み、特に“制限”についてという項目を学んだことが、印象に残っています。制限とは、「人間としてしても良いことと、いけないことをわきまえるという、大きな目標ある行為」と書いてあります。
 今まで私は、世間一般的に守らなければいけないことのみに焦点を置き、それを制限だと思っていました。しかし、本を読み、制限がなければ利用者の意思の表出方法により、子ども・セラピスト共に心にも体にも傷を負ってしまう可能性があることを知りました。例えば、セラピストに対し暴力をふるってしまう。それでセラピストがけがをしてしまう。また加減がわからない子どもであれば、手や足に自分の力によってダメージを負ってしまいかねません。子どもがけがをしてしまいそこのケガが治るだけなら、まだよいのかもしれませんが、セラピストにけがを負わせてしまったことで、子どもに罪悪感が芽生え、心の距離が広がりセラピーを受けられなくなってしまうかもしれないからです。そうなってしまえば安心安全である、心の拠り所であるはずの場所が脅威になってしまいます。危ない行動をしてしまう子ども達が、自分の判断で自らを律することができ、安心安全な場所だと感じてもらえたらと思います。
 さらに制限破りをしてしまう場合もあります。制限というのは例えば来所・退所の時間を守ること、セラピストに暴力をふるわないこと、使用場所の物を壊さないなどです。それに対し飽田先生は「制限破りは必ず何か原因がある。そしてそれを見極め、気付いてあげ、理解する事が、制限破りを根本的になくしていく事になる。」と指摘しています。それを意識することにより、子どもの口からは伝わってこない、伝えることの難しさを読み取り、理解し、セラピストが<君はこんなにしんどい思いをしているんだね>と伝えることにしています。それによりひかりを利用する子どもたちは理解してくれる人が増え、成長し学校で自分の意思を口で伝えられるようになっているなど変わってきています。今後もさらに学びを深め利用者と共に成長していけたらと思います。ご拝読ありがとうございました。

内海 秀一